I ❤️ cello

アマチュア音楽活動 豪州のローカルの話題など

是枝監督「怪物」2023年 上映中

是枝監督の映画はけっこう見ていて 好きで


映画情報は事前に入れないようにしているが 
広告から なんか不穏な 明るい映画ではないだろう
なイメージだったので 一人で見に行った。


アート系作品を上映する小さい映画館で 
観客は 30代?若い男性一人と 映画好きそうなシニア女性2人組と4人だった。
(日曜の午後の上映で)


映画が終わり 最後まで音楽を聴いたり余韻に浸るのはいつも私一人なのに 
4人とも終わりまで座っていた。


なんか立てなかった。



ーーーーネタバレありーーーー







最初 子供のいじめの話か と暗い気持ちなり


俳優さんたちが皆 演技派過ぎて 
2人の子供たちの名演を支える
特に 安定演技派の安藤サクラ 一流職人的な田中裕子 
ナイスガイ/ファミリーパパの印象だった永山瑛太の
クリーピーな感じといい


校長 教師たちの態度に 気分わるくなり
100%母親に感情移入する


目線が変わると
あれ? 誰が嘘ついているだろう 誰が怪物なのか?


大きなビルの火災 死んでいる猫を埋めて燃やす 
真っ暗な湖 暗いトンネル
ビジュアルにすごく不安な気分が広がり
私も あれこれ推理を巡らす(ように出来ている)



ラストのシーンは あの子たち 死んじゃったんだ
と私は思った。


お天気で清々しい綺麗な景色の中で
生き生きとかけていく二人の姿は
ハッピーエンド的だったけど😢


(車内で「そちらの天気はどうですか?」 「晴れてます」
その会話を思い出す)


言葉にはできない複雑な気持ちが渦巻いていて 
余韻に浸るというより
しばらく立てなくなった。。



印象に残った疑問点、違和感感じたシーンもあり
作文にはなんて書いてあったのか
先生は真相に気づいて飛び出すが よくわからないシーンもある。


事実はわからない見せ方で
空気 ちょっとした言葉 一瞬のビジュアル 人の噂話とかから 
そうなんじゃないか そうだったんだろうと
見る人によって 思い込みが違ってくるような作りになっている。
自分のその時の心情を相手に投影するので
見るタイミングによっても感想が変わるかもしれない。


表情の写し方 編集が秀逸 
長いと感じさせず 最後まで引き込まれた。



ああ 音楽だよ!✨


エンドロールで 坂本龍一さんが音楽を担当したことを知り
(彼が亡くなったことは後で知った)


映画やドラマを見ていて 主題歌がいいな とハマったり
背景の音がやたら耳障りに感じることもあるが


この映画では 音楽がシーンにぴったり溶け込んでいて
音楽自体は印象に残らず 
音楽によってそのシーンや心情が強く心に残った感じで
後で予告を見て ああ あの弦楽器演奏が素晴らしい💖 
と感動あらたになった。
(最近 たまたま図書館で見つけ「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」
坂本さんの著作本を借りた)



観客の想像に任せるタイプの映画はわりと好きで
深いものが残るいい映画だった。
「パーフェクト デイズ 」といい 映画館で見れてよかった。